起床時に全てのエネルギーを使い切った模様
ㅤ春の朝は夏秋冬の朝とはまた違ったベクトルで億劫である。なかなか掛け布団を剥ぐことが出来ない。窓の外から宅配トラックだろうか、扉を閉める音がした。もう一度、今度は勢いよく。布団の中の僕にも勢いが足りていない───のか。もがきながらうつ伏せになって、両手を目一杯広げる。エネルギーチャージ中。一気に肘を伸ばす。背中全体で鉛色の空気をまとった掛け布団を押し上げる。エネルギー解放。目覚まし時計の秒針が一瞬止まった気がした。いや気のせいか。身体に付いた生ぬるい空気を払い落としながら窓に近づく。心なしかカーテンを引く手が軽い。ここまでで今日使える全エネルギーのうち、3分の1くらいは消費したんじゃないか。不意に陽の光が額に当たる。デカイくしゃみがでた。これで残りの3分の2も使っちゃったかな。なんて。
(近隣の公園で撮影)
追記:重松清「エイジ」読了。雰囲気を寄せて書いてみた。